日本は世界の中でも地震がよく発生する地震大国です。なぜ地震がよく発生するかというと日本がプレートの境界に位置しているからです。
断層と地震
地震とは地面が揺れ動く現象のことです。なぜ地面が揺れるのかというと様々な理由があります。例えば火山が噴火するときに地震が発生することもあります。ただ、一般的に私たちが地震と認識しているもののメカニズムには断層が関係しています。
1、地面の下の岩盤になんらかの原因で力が加わる。
2、岩盤がその力に耐えきれずに破壊されることがある。
→ このとき、解放されたエネルギーが地震となる
→ このとき、岩盤が割れてずれたところが断層である
※ 一般的に大きな地震ほど断層面は大きく、ずれも大きいことが多い。
両側に引っ張る力がかかったとき=正断層
圧縮する力がかかったとき=逆断層
その他の断層
横ずれ断層には右横ずれ断層と左横ずれ断層の2種類存在が存在します。
震源 | 地震が発生した場所。 |
---|---|
震源距離 | 震源から観測地点までの距離。 |
震央 | 震源の真上の地表の地点。 |
震央距離 | 震央から観測地点までの距離。 |
断層 | 地面が割れてずれた場所 |
地表地震断層 | 地表まで現れた断層。 |
地震の分布
様々な種類の地震その1 海溝型地震(海溝付近のプレート境界地震)
海溝型地震(海溝付近のプレート境界地震)とは、海溝付近で陸のプレートが大きくずれることで発生する地震です。日本は海溝付近に位置していますので、海溝型地震がよく発生します。
1、海のプレートが海溝で沈み込む
2、海溝で、海のプレートに陸のプレートが引っ張られる
3、陸のプレートが引っ張られることに耐えられなくなる
4、陸のプレートが急激に元の位置に戻り、地震が発生する
海溝型地震には次のような特徴があります。
主な海溝型地震
関東地震(1923年)M7.9
南海地震(1946年)M8.0
東北地方太平洋沖地震(2011年)M9.0
様々な種類の地震その2 プレート内地震
プレートの運動による歪みがプレート内部にたまり、プレート内の岩盤が割れて発生する地震をプレート内地震といいます。日本列島は4枚のプレートの境界に位置するので、プレート運動による歪みがたまりやすく、プレート内地震が起きやすいです。
その1、プレートが動く
その2、プレート境界にひずみがたまる
その3、プレート内の岩盤がひずみに耐えきれなくなり割れる
その4、そのエネルギーによって地震が発生する
プレート内地震には次のような特徴があります。
主なプレート内地震
兵庫県南部地震(1995)M7.3
熊本地震(2016)M7.3
北海道胆振東部地震(2018)M6.7
マグニチュードと震度
地震が発生すると、2種類の数値が発表されます。マグニチュードと震度です。
マグニチュード
マグニチュードとは地震の規模(エネルギー)を表す数値です。
- 1つの地震に対してマグニチュードは1つ
- マグニチュードの数値が2大きくなるととエネルギー量は1000倍になる
- 海溝型地震の場合の方がマグニチュードは大きくなる傾向がある
最大震度7の地震のマグニチュード
地震の名称 | 発生年 | 地震の種類 | マグニチュード |
兵庫県南部地震 | 1995年 | プレート内地震 | M7.3 |
新潟中越地震 | 2004年 | プレート内地震 | M6.8 |
東北地方太平洋沖地震 | 2011年 | 海溝型地震 | M9.0 |
熊本地震 | 2016年 | プレート内地震 | M6.5 |
熊本地震 | 2016年 | プレート内地震 | M7.3 |
北海道胆振東部地震 | 2018年 | プレート内地震 | M6.7 |
能登半島地震 | 2024年 | プレート内地震 | M7.6 |
※データ元は気象庁ホームページです
震度は震源までの距離に大きな関係を持つからマグニチュードが小さいから震度が必ずしも小さくなるとは限らないよ
マグニチュードの算出
マグニチュードをどのように計測するかは結構複雑で、世界中で様々な計測方法があります。
気象庁では気象庁マグニチュード(Mj)とモーメントマグニチュード(Mw)の2つを活用しています。
つまり、日本で目にするマグニチュードはこの2つのどちらかだと思えばOKです。
詳しい説明は次の気象庁のリンクを載せさせていただきますが、基本的には気象庁マグニチュード(Mj)を算出していて、規模が大きすぎる地震のときはモーメントマグニチュード(Mw)を算出していると思っていただいてOKです。
詳しく知りたい人は次の気象庁のサイトを見てみてください。
気象庁HP「地震情報等に用いるマグニチュードについて」
https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/joho/info_magnitude.html
震度
震度は地震による揺れの大きさを表した数値です。
震度って何段階?
ちなみに震度が何段階わかれてあるか知っている?
答えは10段階なんだ
1 | 震度0 |
---|---|
2 | 震度1 |
3 | 震度2 |
4 | 震度3 |
5 | 震度4 |
6 | 震度5弱 |
7 | 震度5強 |
8 | 震度6弱 |
9 | 震度6強 |
10 | 震度7 |
最大震度7の観測回数
1回目 | 兵庫県南部地震 | 1995年 |
2回目 | 新潟中越地震 | 2004年 |
3回目 | 東北地方太平洋沖地震 | 2011年 |
4回目 | 熊本地震 | 2016年 |
5回目 | 熊本地震 | 2016年 |
6回目 | 北海道胆振東部地震 | 2018年 |
7回目 | 能登半島地震 | 2024年 |
地震波について P波とS波
地震が発生したとき、地震波という波で揺れが伝わります。性質の違う2種類の地震波があり、P波とS波と言います。
P波
地震により発生する地震波の一種
縦波でS波よりもスピードが速く、初期微動を引き起こす
固体・液体・気体すべての媒質中で伝わる
S波
地震により発生する地震波の一種
横波でP波よりもスピードが遅く、主要動を引き起こす
固体の媒質中でのみ伝わる
P波とS波の違いまとめ
名前 | 波の性質 | 速度 | 引き起こす揺れ | 伝わる媒質 |
P波 | 縦波 | 5~7 ㎞/s | 初期微動 | 固体・液体・気体 |
S波 | 横波 | 2~4 ㎞/s | 主要動 | 固体 |
P波とS波の覚え方
S波はセカンダリーウェーブ(secondary wave)
と言うんだ
つまり速度が遅いと覚えると、間違えにくいよ
大森公式
大森公式は地震分野で登場する超有名な公式です。
震源距離は初期微動継続時間(P-S時間)に比例することを表した式
※大森さんは画期的な地震計を開発したことでも有名です。
$$\large D=kT$$
D:震源距離
k:定数
T:初期微動継続時間(P-S時間)
深発地震
震源が深い地震を深発地震と言います。
震源が深い地震はプレートの沈み込む境界でしか観測されません。
地震は硬いリソスフェアでしか基本的に発生できません。その硬いリソスフェア(プレート)が深い場所まで沈み込んでいるのは、プレートの沈み込み境界なので、深発地震はほとんどプレートの沈み込み境界でしか観測されません。
※ 深発地震の深さの定義は300km以下とされることも多いですが、高校の地学基礎の分野では震源が100km以下の地震を深発地震として扱うこともあります。
異常震域
基本的に地震は震央から近い場所の方が揺れが大きくなります。でも時々、震央から離れた場所の方が震度が大きくなることがあります。これを異常震域と言います。異常震域の地震は、震源が深いときに硬いプレートに沿って地震波が伝わることによって発生します。
1、震源が深い場所で地震が発生する
2、沈み込む硬いプレートに沿って地震波が伝わる
3、柔らかいアセノスフェアを通った地震波よりも大きな揺れになる
例えば1973年にウラジオストク付近で発生した地震は日本海側よりも震源から遠い太平洋側の方が大きな震度を観測したよ。
緊急地震速報
震源に近い場所で地震波(P波)を観測したら、自動的にデータを解析して、各地でS波が到達する前に地震が到達することを知らせるシステムを緊急地震速報と言います。
画期的なシステムですが、震源が近いと揺れが伝わるまでの時間が短すぎて、緊急地震速報が間に合わない場合もあります。
緊急地震速報はいざというとき活用できるように準備しておくといいです。
まず、自分の携帯電話で地震速報が受信できるか調べてみましょう。
緊急地震速報を受信してから地震波が到達するまでには数秒程度しか時間はないことが多いです。そのため、携帯電話の画面を確認する時間はないので緊急地震速報の通知音を覚えておきましょう。
※ 緊急地震速報の通知音は携帯会社のHPで確認できます。
現代の科学では地震を日時や場所を特定して予知することはできません。気象庁のHPでは地震予知について次のように説明されています。
地震を予知するということは、地震の起こる時、場所、大きさの三つの要素を精度よく限定して予測することです。例えば「(時)一年以内に、(場所)日本の内陸部で、(大きさ)マグニチュード5の地震が起こる」というようなあいまいな予測や、毎日起きているマグニチュード4程度以下の小さな地震を予測するような場合はたいてい当たりますが、それに情報としての価値はあまりないと考えます。少なくとも「(時)一週間以内に、(場所)東京直下で、(大きさ)マグニチュード6~7の地震が発生する」というように限定されている必要がありますが、現在の科学的知見からは、そのような確度の高い地震の予測は難しいと考えられています。
以上により、一般に、日時と場所を特定した地震を予知する情報はデマと考えられます。お聞きになった情報で心配される必要はありませんが、日本は地震国であり、地震が起こらない場所はないと言っても過言ではありません。日ごろから地震に対する備えをお願いいたします。
引用元:気象庁|地震予知について
断層と褶曲まとめ
- 岩盤に溜まった歪みが解放させることにより地震が発生する
- 大きく分類して地震は2種類に分類できる
- 地震波(P波とS波)の性質の違いから震源などを特定できる