地学のまも(@tigakunomamo)です
この記事では大気の安定・不安定について説明していきますね。
この図を見てください。
そのそも大気の安定・不安定とは
大気に存在する空気の塊(空気塊)は上昇すると雲に変化して雨を降らせます。
ざっくり言いますと、空気塊が上昇し続ける大気が不安定な大気です。
空気が下降し続けると雲がなくなります。
そのため、空気塊が下降し続ける大気が安定な大気です。
空気塊が上昇=雨が降る=不安定
空気塊が下降=晴れる=安定
空気塊が上昇して雲ができるメカニズムは次の記事で説明しています。
空気塊が上昇・下降する理由
空気塊は温度によって重さが変化します。(正確には密度です)
暖かい空気ほど軽いです。
冷たい空気ほど重たいです。
軽い空気は上昇して、重たい空気は下降します。
そのため、周りの大気の気温よりも空気塊の温度が高ければ空気塊は上昇します。
周りの大気の気温よりも空気塊の温度が低ければ空気塊は下降します。
周囲の大気よりも空気塊の温度が高い=空気塊が上昇=大気は不安定
周囲の大気よりも空気塊の温度が低い=空気塊が下降=大気は安定
乾燥断熱減率と湿潤断熱減率と大気の気温
実際には空気塊は上昇すると、どんどん温度が下がります。
また、大気も基本的には上空ほど低いです。
気温の変化は空気塊の性質などによって異なります。
乾燥した空気塊(未飽和)・・100m上昇ごとに1℃下がる=乾燥断熱減率
湿った空気塊(飽和)・・100m上昇ごとに0.5℃下がる=湿潤断熱減率
大気=100m上昇ごとに??℃下がる(場所により異なる)
地上に存在する乾燥した空気塊(未飽和)や湿った空気塊(飽和)は
上昇すると次のように温度が下がります。(上中下の空気塊の間隔はそれぞれ100mです)
この図の湿潤断熱減率の線は100mごとに空気塊の温度が0.5℃下がることを表しています。
そして乾燥断熱減率の線は100mごとに空気塊の温度が1℃下がることを表しています。
この図は傾きが大きいほど、温度変化が大きい。
(100m上昇した時に、温度が大きく下がる)
ここで大切になるのは大気の温度変化です。
大気の温度変化の割合は大きく3つに分類できます。
その1、乾燥断熱減率よりも大きな割合で大気の温度が下がる場合。
(100mごとに大気の気温が1℃より大きいの割合で下がる)
その2、乾燥断熱減率と湿潤断熱減率の間の割合で大気の温度が下がる場合。
(100mごとに大気の気温が0.5℃〜1℃の割合で下がる)
その3、湿潤断熱減率よりも小さい割合で大気の温度が下がる場合。
(100mごとに大気の気温が0.5℃より小さい割合で下がる)
その1、絶対不安定(乾燥断熱減率よりも大きな割合で大気の温度が下がる場合)
この場合、大気の温度は次のように下がります。
乾燥空気塊や湿潤空気塊はそれぞれ1℃ずつ、0.5℃ずつ温度が下がります。
そのため、乾燥空気塊も湿潤空気塊の温度は、周りの気温よりも常に高くなります。
周りの気温よりも空気塊の温度が高いので、空気塊は上昇し続けます=絶対不安定
その2、条件付き不安定(乾燥断熱減率と湿潤断熱減率の間の割合で大気の温度が下がる場合)
この場合、大気の温度は次のように下がります。
乾燥空気塊や湿潤空気塊はそれぞれ1℃ずつ、0.5℃ずつ温度が下がります。
そのため、乾燥空気塊の場合、空気塊の温度は、周りの気温よりも常に低くなります。
周りの気温よりも空気塊の温度が高いので、空気塊は上昇することができません=安定
そのため、湿潤空気塊の場合、空気塊の温度は、周りの気温よりも常に高くなります。
周りの気温よりも空気塊の温度が高いので、空気塊は上昇し続けます=不安定
空気塊の状態によって安定か不安定かが変わるので、この場合を条件付き不安定と言います。
その3、絶対安定(湿潤断熱減率よりも小さい割合で大気の温度が下がる場合)
この場合、大気の温度は次のように下がります。
乾燥空気塊や湿潤空気塊はそれぞれ1℃ずつ、0.5℃ずつ温度が下がります。
そのため、乾燥空気塊も湿潤空気塊の温度は、周りの気温よりも常に低くなります。
周りの気温よりも空気塊の温度が高いので、空気塊は上昇することができません=絶対安定
- 絶対不安定(乾燥断熱減率よりも大きな割合で大気の温度が下がる場合の大気の状態)
- 条件付き不安定(乾燥断熱減率と湿潤断熱減率の間の割合で大気の温度が下がる場合の大気の状態)
- 絶対安定(湿潤断熱減率よりも小さい割合で大気の温度が下がる場合大気の状態)