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地学基礎教室「地震」

この記事には新課程に対応した改訂版があります。

NEW地学基礎教室「地震」日本は世界の中でも地震がよく発生する地震大国です。なぜ地震がよく発生するかというと日本がプレートの境界に位置しているからです。 ...

日本は世界の中でも地震がよく発生する地震大国です。なぜ地震がよく発生するかというと日本がプレートの境界に位置しているからです。

うさぎさん
うさぎさん
プレートの境界だとなんで地震がよく発生するの?
アンモナイト先生
アンモナイト先生
地震のメカニズムを簡単に説明するね

断層と地震

地震とは地面が揺れ動く現象のことです。なぜ地面が揺れるのかというと様々な理由があります。例えば火山が噴火するときに地震が発生することもあります。ただ、一般的に私たちが地震と認識しているもののメカニズムには断層が関係しています。

断層と地震

1、地面の下の岩盤になんらかの原因で力が加わる。
2、岩盤がその力に耐えきれずに破壊されることがある。
→ このとき、解放されたエネルギーが地震となる
→ このとき、岩盤が割れてずれたところが断層である
※ 一般的に大きな地震ほど断層面は大きく、ずれも大きいことが多い。

図「割れる岩盤と断層」
うさぎさん
うさぎさん
地面の中の硬い場所に力がかかって割れてずれたときに地震が発生するんだね
アンモナイト先生
アンモナイト先生
断層から岩盤に対してどのように力が加わったかを推定することができるよ

両側に引っ張る力がかかったとき=正断層

図「正断層」

圧縮する力がかかったとき=逆断層

図「逆断層」

その他の断層

図「横ずれ断層」
アンモナイト先生
アンモナイト先生
兵庫県南部地震によってできた野島断層は典型的な逆断層だよ。
コラム「基本的な地震用語」

図「地震分野で登場する基本的な用語」

 

震源 地震が発生した場所。
震源距離 震源から観測地点までの距離。
震央 震源の真上の地表の地点。
震央距離 震央から観測地点までの距離。
断層 地面が割れてずれた場所
地表地震断層 地表まで現れた断層。

 

うさぎさん
うさぎさん
地学用語は似た名前のものが多いから注意が必要だね

様々な種類の地震その1 海溝型地震

海溝型地震とは、海溝付近で陸のプレートが大きくずれることで発生する地震です。日本は海溝付近に位置していますので、海溝型地震がよく発生します。

海溝型地震の仕組み

1、海のプレートが海溝で沈み込む
2、海溝で、海のプレートに陸のプレートが引っ張られる
3、陸のプレートが引っ張られることに耐えられなくなる
4、陸のプレートが急激に元の位置に戻り、地震が発生する

図「海溝型地震のイメージ」

海溝型地震には次のような特徴があります。

特徴その1 巨大地震が発生しやすい
アンモナイト先生
アンモナイト先生
大規模な範囲で地面がずれるのでマグニチュードが大きな地震が発生しやすいよ
特徴その2 周期的に地震が発生しやすい
アンモナイト先生
アンモナイト先生
プレートが動くスピードが変わらなければ、それに伴って生じる歪みが溜まっていくスピードもあまり変わらないので、周期的に地震が発生しやすいよ
特徴その3 津波を伴うことがある
アンモナイト先生
アンモナイト先生
海底に震源がくることが多いので、津波を発生させることがあるんだ。海溝型地震の場合、特に津波に関しても注意が必要だね

主な海溝型地震

関東地震(1923年)M7.9
南海地震(1946年)M8.0
東北地方太平洋沖地震(2011年)M9.0

様々な種類の地震その2 プレート内地震

プレートの運動による歪みがプレート内部にたまり、プレート内の岩盤が割れて発生する地震をプレート内地震といいます。日本列島は4枚のプレートの境界に位置するので、プレート運動による歪みがたまりやすく、プレート内地震が起きやすいです。

プレート内地震の仕組み

その1、プレートが動く
その2、プレート境界にひずみがたまる
その3、プレート内の岩盤がひずみに耐えきれなくなり割れる
その4、そのエネルギーによって地震が発生する

図「プレート内地震のイメージ」

プレート内地震には次のような特徴があります。

特徴その1 活断層で発生することが多い
アンモナイト先生
アンモナイト先生
活断層は再度震源になる可能性が高いので、プレート内地震が発生する可能性が高くなるよ。ちなみに日本には沢山の活断層が存在しているよ。
特徴その2 いつ、どこで発生するのか予想がたてられない
アンモナイト先生
アンモナイト先生
日本中の至る所でプレートの歪みが溜まっているのでどこでも地震が発生する可能性があるよ。再度地震が発生しやすい活断層も、周期が数百数千から数万年と海溝型地震よりも長いことが多いよ。そのため、海溝型地震に比べて地震の発生時期や場所を読み取るのがとても難しいよ。
特徴その3 地震の規模は海溝型地震に比べると小さい傾向がある
アンモナイト先生
アンモナイト先生
海溝型地震のようにプレートそのものが動くわけではないので、地震の規模を表すマグニチュードは海溝型地震に比べると低くなる傾向があるよ。
特徴その4 規模は小さくても人が住む場所のすぐ地下で発生すると大きな災害に繋がる
アンモナイト先生
アンモナイト先生
マグニチュードが小さくても震源から近いと大きな揺れが発生するんだ。プレート内地震は震源が浅い場所で発生することがあるよ。特に人口が集中している地域と震源が近いと大きな被害をもたらすことがあり、これを直下型地震というよ。

主なプレート内地震

兵庫県南部地震(1995)M7.3
熊本地震(2016)M7.3
北海道胆振東部地震(2018)M6.7

マグニチュードと震度

地震が発生すると、2種類の数値が発表されます。マグニチュード震度です。

アンモナイト先生
アンモナイト先生
マグニチュードと震度の違いってわかる?
うさぎさん
うさぎさん
なんだろう?
アンモナイト先生
アンモナイト先生
マグニチュードは地震の規模を表して、震度は観測地点の揺れの大きさを表すよ。

マグニチュード

マグニチュードとは地震の規模(エネルギー)を表す数値です。

マグニチュードのポイント
  • 1つの地震に対してマグニチュードは1つ
  • マグニチュードの数値が2大きくなるととエネルギー量は1000倍になる
  • 海溝型地震の場合の方がマグニチュードは大きくなる傾向がある
うさぎさん
うさぎさん
マグニチュードって地震が起きたときに必ず発表されるね
空気塊くん
空気塊くん
そうだね地震の規模を表すとても大切な数値だからね
空気塊くん
空気塊くん
基本的に震度と一緒に発表されるよ
うさぎさん
うさぎさん
過去の地震でのマグニチュードってどうなっているのかな
空気塊くん
空気塊くん
少し見てみよう

最大震度7の地震のマグニチュード

地震の名称 発生年 地震の種類 マグニチュード
兵庫県南部地震 1995年 プレート内地震 M7.3
新潟中越地震 2004年 プレート内地震 M6.8
東北地方太平洋沖地震 2011年 海溝型地震 M9.0
熊本地震 2016年 プレート内地震 M6.5
熊本地震 2016年 プレート内地震 M7.3
北海道胆振東部地震 2018年 プレート内地震 M6.7

※データ元は気象庁ホームページです

うさぎさん
うさぎさん
海溝型地震の方がマグニチュードが大きいね
うさぎさん
うさぎさん
でもマグニチュードが大きいから震度が大きくなるわけではないんだね
空気塊くん
空気塊くん
そうだね
震度は震源までの距離に大きな関係を持つからマグニチュードが小さいから震度が必ずしも小さくなるとは限らないよ
うさぎさん
うさぎさん
なるほどー
図「マグニチュードまとめ」

震度

震度は地震による揺れの大きさを表した数値です。

震度って何段階?

うさぎさん
うさぎさん
地震が発生したらまず震度を気にしちゃうな
空気塊くん
空気塊くん
そうだね
ちなみに震度が何段階わかれてあるか知っている?
うさぎさん
うさぎさん
えっと・・9ぐらい?
空気塊くん
空気塊くん
おしいね
答えは10段階なんだ
うさぎさん
うさぎさん
そうなんだ
震度0
震度1
震度2
震度3
震度4
震度5弱
震度5強
震度6弱
震度6強
10 震度7

最大震度7の観測回数

空気塊くん
空気塊くん
ちなみに震度7は今まで6回しか観測していないよ(2021年1月6日現在)
1回目 兵庫県南部地震 1995年
2回目 新潟中越地震 2004年
3回目 東北地方太平洋沖地震 2011年
4回目 熊本地震 2016年
5回目 熊本地震 2016年
6回目 北海道胆振東部地震 2018年
図「震度まとめ」

地震波について P波とS波

地震が発生したとき、地震波という波で揺れが伝わります。性質の違う2種類の地震波があり、P波S波と言います。

P波

地震により発生する地震波の一種
縦波でS波よりもスピードが速く、初期微動を引き起こす
固体・液体・気体すべての媒質中で伝わる

アンモナイト先生
アンモナイト先生
速くて小さい揺れだね

S波

地震により発生する地震波の一種
横波でP波よりもスピードが遅く、主要動を引き起こす
固体の媒質中でのみ伝わる

アンモナイト先生
アンモナイト先生
遅くて大きい揺れだね

P波とS波の違いまとめ

名前 波の性質 速度 引き起こす揺れ 伝わる媒質
P波 縦波 5~7 ㎞/s 初期微動 固体・液体・気体
S波 横波 2~4 ㎞/s 主要動 固体

P波とS波の覚え方

うさぎさん
うさぎさん
P波とS波がどっちが速かったかがいつも曖昧になるんだよね
空気塊くん
空気塊くん
それはP波S波の言葉の意味を考えるとわかりやすいよ
空気塊くん
空気塊くん
P波はプライマリーウェーブ(primary wave)
S波はセカンダリーウェーブ(secondary wave)
と言うんだ
空気塊くん
空気塊くん
S波のSはセカンドだから2番目に来る波
つまり速度が遅いと覚えると、間違えにくいよ
うさぎさん
うさぎさん
なるほど!

大森公式

大森公式は地震分野で登場する超有名な公式です。

空気塊くん
空気塊くん
入試などでも出題されやすいよ。
大森公式とは

震源距離は初期微動継続時間(P-S時間)に比例することを表した式

アンモナイト先生
アンモナイト先生
地震学者の大森房吉さんが発見した式だよ
大森公式の式

$$\large D=kT$$
D:震源距離
k:定数
T:初期微動継続時間(P-S時間)

うさぎさん
うさぎさん
大森公式は次の記事でより丁寧に説明しているので是非見てね
大森公式初期微動継続時間と震源距離の関係を表した大森公式についてできる限りわかりやすい言葉を使って解説した記事です。イラストやGIFも多く使用しています。この記事が大森公式の理解に繋がればと思い作成しました。...

深発地震

震源が深い地震を深発地震と言います。
震源が深い地震はプレートの沈み込む境界でしか観測されません。

うさぎさん
うさぎさん
なんで深発地震はプレートの沈み込み境界でしか観測されないの?
アンモナイト先生
アンモナイト先生
地震は地下の硬い部分が割れたりずれたりして発生するのだけど、地下の深い場所はアセノスフェアと言って柔らかい層が広がっているから基本的には地震は発生しないよ。
図「柔らかいアセノスフェア」

地震は硬いリソスフェアでしか基本的に発生できません。その硬いリソスフェア(プレート)が深い場所まで沈み込んでいるのは、プレートの沈み込み境界なので、深発地震はほとんどプレートの沈み込み境界でしか観測されません。

※ 深発地震の深さの定義は300km以下とされることも多いですが、高校の地学基礎の分野では震源が100km以下の地震を深発地震として扱うこともあります。

異常震域

基本的に地震は震央から近い場所の方が揺れが大きくなります。でも時々、震央から離れた場所の方が震度が大きくなることがあります。これを異常震域と言います。異常震域の地震は、震源が深いときに硬いプレートに沿って地震波が伝わることによって発生します。

異常震域のメカニズム

1、震源が深い場所で地震が発生する
2、沈み込む硬いプレートに沿って地震波が伝わる
3、柔らかいアセノスフェアを通った地震波よりも大きな揺れになる

図「異常震域」
アンモナイト先生
アンモナイト先生
沈み込むプレート帯で発生することがあるよ。
例えば1973年にウラジオストク付近で発生した地震は日本海側よりも震源から遠い太平洋側の方が大きな震度を観測したよ。

緊急地震速報

震源に近い場所で地震波(P波)を観測したら、自動的にデータを解析して、各地でS波が到達する前に地震が到達することを知らせるシステムを緊急地震速報と言います。
画期的なシステムですが、震源が近いと揺れが伝わるまでの時間が短すぎて、緊急地震速報が間に合わない場合もあります。

アンモナイト先生
アンモナイト先生
緊急地震速報はテレビやラジオ、携帯電話などを通して受信することができるよ

緊急地震速報はいざというとき活用できるように準備しておくといいです。
まず、自分の携帯電話で地震速報が受信できるか調べてみましょう。
緊急地震速報を受信してから地震波が到達するまでには数秒程度しか時間はないことが多いです。そのため、携帯電話の画面を確認する時間はないので緊急地震速報の通知音を覚えておきましょう。
※ 緊急地震速報の通知音は携帯会社のHPで確認できます。

コラム「地震予知について」

現代の科学では地震を日時や場所を特定して予知することはできません。気象庁のHPでは地震予知について次のように説明されています。

 地震を予知するということは、地震の起こる時、場所、大きさの三つの要素を精度よく限定して予測することです。例えば「(時)一年以内に、(場所)日本の内陸部で、(大きさ)マグニチュード5の地震が起こる」というようなあいまいな予測や、毎日起きているマグニチュード4程度以下の小さな地震を予測するような場合はたいてい当たりますが、それに情報としての価値はあまりないと考えます。少なくとも「(時)一週間以内に、(場所)東京直下で、(大きさ)マグニチュード6~7の地震が発生する」というように限定されている必要がありますが、現在の科学的知見からは、そのような確度の高い地震の予測は難しいと考えられています。
 
 以上により、一般に、日時と場所を特定した地震を予知する情報はデマと考えられます。お聞きになった情報で心配される必要はありませんが、日本は地震国であり、地震が起こらない場所はないと言っても過言ではありません。日ごろから地震に対する備えをお願いいたします。

引用元:気象庁|地震予知について

うさぎさん
うさぎさん
予知できないからこそ日頃から備えることが大切なんだね

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