日本は数多くの火山が存在している火山大国です。なぜ日本に火山が多いかというと、地震と同様でプレートの運動が関係しています。
このページではそんな火山について説明していきます。
※ 世界の活火山は約1500です。そのうち、日本の活火山は約110です。
火山噴火とマグマ
火山が発生するためにはマグマが必要です。
- 岩石が融解してマグマができる。(マグマの密度は岩石よりも小さいので浮力により上昇する)
- マグマは浮力と重力が釣り合うところまで上昇してマグマだまりを形成する。
- マグマだまりの中でマグマの揮発性成分が気体に変化してマグマだまり内の圧力が上昇する。
- 上昇した圧力によってマグマが岩盤を突き破りマグマが地表に噴出する。(噴火)
メカニズムをみると、マグマさえできれば自動的に浮力で上昇し、マグマだまりを形成して噴火することがわかります。
そのことをまとめると次のように考えることができます。
マグマができると自動的に火山ができる条件が整う。
つまり、マグマができる場所が火山の分布になる。
炭酸水と噴火
マグマに含まれる気体になる成分が出てくることで圧力が高まり、その圧力に耐えられなくなると、マグマが外に飛び出して噴火をします。
この噴火のメカニズムは炭酸水で表現することができます。
ペットボトルに入った炭酸水を激しく振ると、ペットボトル内の圧力が上昇します。そして蓋を開けると勢いよく炭酸水が飛び出します。このメカニズムは噴火のメカニズムにとても似ています。
※実験をするときはタオルや、大きなタライを用意できると片付けが楽です。ゆっくり開けると横に飛び散ってしまうので、勢いよく開けましょう。
火山の分布
マグマができると火山が形成されます。つまり火山の分布は、その場所の地下で、岩石がマグマに変化する条件が満たされている場所と考えることができます。
- 岩石の温度が上昇する
- 岩石にかかる圧力が低下する
- 岩石に水分が供給される
※ どんな場所でも地面を掘ればマグマがあると思っている人は意外と多いですが、それは誤りです。基本的に火山がある場所の地下にしかマグマは存在しません。
地下は深い場所ほど温度が高くなりますが、その分圧力も高くなるため、特徴がない一般的な場所の地下では基本的にマグマは形成されません。
以上のことを踏まえて火山の分布を確認してみると、地球の火山は次の3ヶ所に分布していることがわかります。
火山の分布その1 沈み込み帯
海溝で沈み込んだ海洋プレートが一定の深さまで沈み込むと、プレートから水分が放出されます。その水分によってマグマが発生し、火山が形成されます。日本列島の火山はこのパターンで形成されます。
沈み込み帯の火山はプレートが深く沈み込んだ場所でしか形成されないため、海溝から火山ができ始める場所までは距離があります。火山ができ始める海溝から近い場所を繋いだ線を火山前線と言います。
火山の分布その2 海嶺
海嶺ではプレートが外側に向かって広がっていくことで、マントル物質が上昇しています。そのため岩石にかかる圧力が低下してマグマできるので、火山が形成されます。
火山の分布その3 ホットスポット
ホットスポットでは地球内部からマントル対流によってマントルの物質が上昇しています。そのため、岩石にかかる圧力が低下してマグマができるので、火山が形成されます。
火山噴出物
火山噴出物はその名の通り、火山が噴火する際に噴出されたもののことを言います。
火山ガス | 気体 | 水蒸気・二酸化炭素・二酸化硫黄・硫化水素 |
溶岩 | 液体 | |
火山砕屑物 | 固体 | 火山灰・火山礫・火山岩塊・火山弾・軽石 |
※火山ガスの中では水蒸気の割合が最も多いです。
マグマの粘性が大きな火山でよく発生するよ。
様々な火山
火山には様々な種類があります。形も様々です。
火山にバリエーションがあるのは主にマグマが原因です。特にマグマの粘性の違いは火山の様式にとても大きな影響を与えます。
この図は上下方向に対応し合っています。つまり、どれかひとつの情報がわかれば、そのほかの様々な情報を得ることができるのです。
火山の形
粘性が小さい場合(玄武岩質のマグマ)
主な盾状火山:マウナロア(ハワイ)、キラウエア(ハワイ)
ちなみにハワイの火山は実際には海底から火山が形成されているから、海がもし無ければ高さは9000mを超える超巨大火山だよ。
粘性が大きい場合(流紋岩質のマグマ)
主な溶岩ドーム:昭和新山(北海道)
三松正夫さんの功績は次の地質調査総合センター(https://www.gsj.jp/index.html)の記事に詳しく記載されていてオススメです。
記事のURL
https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/04_05_07.pdf
外部サイトのPDF記事に飛びます。
主なカルデラ:阿蘇カルデラ(熊本県)、イエローストーン(アメリカ)
多様な粘性のマグマの場合
主な成層火山:富士山、マヨン火山(フィリピン)
成層火山は何度も噴火を繰り返して溶岩や火山砕屑物が積み重なって形成されるよ。
コラム
日本は火山大国に位置して、それに伴う災害も今まで数多く発生してきました。「火山は怖いもの」そう正しく認識することは大切ですが、火山による恩恵も理解しておくことも、とても大切なことです。いくつか紹介します。
火山内部には熱が多く含まれているので、水が暖められて温泉ができます。また、熱は地熱発電という形で発電に使うこともできます。火山灰の土壌は柔らかく耕しやすいので、農地への利用が盛んにされています。火山が作る地層は隙間が多いので、水を多く含んで綺麗な湧き水が豊富に生まれます。
火山まとめ
- マグマができると、上昇してマグマだまりを作り、火山が形成される。
- 火山から噴出するものは、火山ガス(気体)、溶岩(液体)、火山砕屑物(固体)の3種類。
- マグマの粘性が違うと、形成される火山の形も変わる。
- 火山が分布しているのは3か所。(プレートの沈み込み帯、海嶺、ホットスポット)
- 火山は災害も引き起こすが、恵みも、もたらしてくれている。