どーも!
地学のまもです。
何度も読んでいる「ドキュメント宇宙飛行士選抜試験」という本の読書感想の記事です。
2008年に日本で実施された、宇宙飛行士選抜試験。
その内容を密着取材を行ったうえで、本にまとめたもの。
選抜試験の最終候補者に残った10人に行われた試験を中心に内容が構成されている。
手に汗握る展開で、誰が選抜されるかを予測しながら楽しく読める。
この取材が元になって制作されたNHKスペシャル「宇宙飛行士はこうして生まれた~密着・最終選抜試験~」も名作。
感想
人生で採用試験を経験しない人はほとんどいないと思います。
そんな採用試験の中でも宇宙飛行士採用試験は一番難しいのではないかと言われています。
宇宙飛行士という職業を知らない人はいないと思います。日本に住んでいて宇宙に行こうと思ったら、今のところJAXAという組織が行っている宇宙飛行士選抜試験に合格する必要があります。
普通は採用試験をどのようなプロセスで行っているのかは極秘事項です。
一般的な会社でも内緒にしているところの方が多いと思います。
でもこの本では、普通は極秘である(しかも一番難しいといわれている宇宙飛行士の)採用試験をJAXA協力の元、密着取材して執筆されています。
どんな人が宇宙飛行士に採用されると思いますか?
宇宙飛行士になるためにはどんな力を持っていることを重視されると思いますか?
その答えはこの本に書かれています。
この本は沢山の人の力になる本です。
特これから先に採用試験を控えている人にとっては大きな力になると思います。
文句なしにお勧めの一冊です。
詳しくは省きますが終盤めちゃくちゃ感動します。
印象に残った言葉
どんな資質を問われるのか?
およそ1年がかりで追い続けた宇宙飛行士選抜試験で我々が目にしたものは、超人が華々しくその天才ぶりを発揮する姿でも、凡人には理解できない難解な試験が繰り広げられる光景でもなかった。
あえて短い言葉で表現するなら・・・・どんなに苦しい局面でも決してあきらめず、他人を思いやり、その言葉と行動で人を動かす力があるか
その″人間力″を徹底的に調べ上げる試験だったのである。
「ドキュメント宇宙飛行士選抜試験」本文5頁より
宇宙飛行士とはどんな資質を問われるのか?その資質を著者の方が、長時間の取材から要約してくれた言葉です。
この資質を問うためにJAXAの方が、どのような内容の試験を行うのか、ぜひ想像してから読んでもらえると、より楽しく読めます。
無理難題の要求とその意図
「難癖をつけられたときなぜそのように評価されたのかをまず分析し、次にそれをどうやってリカバーするか。課された問題をどのように乗り越えるのかを見たいのです」
「ドキュメント宇宙飛行士選抜試験」本文149頁より
宇宙飛行士は時間も道具も少ない中で、とっさに最善の動きを行う必要があります。
その資質を問うために試験官の人たちは、あえてすぐには解決できないような難題な要求を候補者たちにします。
そのときに、試験官の人が取材スタッフに語った言葉です。
NASAでの試験と室長の思い
その意味で興味深いのは、リンゼー氏が「候補者たちには、NASAが自分と家族の人生をかけるべき場所かどうかを、試験を通して逆に見極めてほしい」と語っている点だ。
「ドキュメント宇宙飛行士選抜試験」本文209頁より
選抜試験の最後はNASAで行われます。
その時に、NASAの宇宙飛行士室のリンゼー室長(当時)が語っていた言葉が印象に残りました。
宇宙飛行士になるには覚悟が必要です。それを問うためにNASAで試験が行われるのですが、リンゼー室長はNASAに訪れて人や施設に触れることで、本当に人生をかけるに値する仕事なのかを自分と向き合って真剣に考えて欲しいと語っていました。
まとめ
本の情報
タイトル:ドキュメント宇宙飛行士選抜試験
著者:大鐘良一、小原建右
出版社:光文社
発行年:2010年6月