地学のまも(@tigakunomamo)です
NHKで放送している人気番組「みいつけた!」で今年(2020年)の3月から新しいエンディングテーマ曲が放送された。
タイトルは「ドンじゅらりん」
なんと恐竜がモチーフだ!
そして作詞作曲は「くるり」の岸田繁さんだ!
とにかく聞いて欲しい。
「みいつけた!」は基本的に
月~金の午前7:45~8:00と、
月~金の午後4:45~5:00(同じ内容の再放送)にNHKのEテレで放送している。
「みいつけた!」では過去にも、「グローイングアップップ」や「カゲのオバケ」「おっす!イスのおうえんだん」「ねぇ知ってる?」「レグのハートがぬすまれた!」など良曲を生み出し続けているけれど、恐竜がモチーフの曲はおそらく初めてだと思う。初めて聞いたとき、韻を踏んで頭に残るリズムにのって、マニアックな恐竜の名前が出てくることに感動した。
私はすぐに次の日の放送を録画して、リピートして何度も聴いた。
50回は確実に聴いたので、歌詞のメッセージや、そこから思ったこと、登場する恐竜についても解説していきたいと思う。
なお、子どもたちが登場する恐竜について学べるページも作った。
「みいつけた!」の対象年齢に合わせて、表記は全部ひらがなで、文字もめちゃ大きくしたので、「ドンじゅらりん」に登場する恐竜について知りたい子どもたちは次のページを見て欲しい。
「ドンじゅらりん」は確実に名曲であるが、その理由は2つあると考えられる。
そう!
ひとつ目はスイちゃんの可愛さだ!
異論があるひとはいないと思う。
ふたつめも皆さんお分かりであろう。
そう!
みんな恐竜が好きってこと!
恐竜が好き=恐竜の出てくる曲も好き
こういう理屈だと思う。
古代の地球にいたダイナミックでかっこいい恐竜は人間を惹きつけるらしい。
私も恐竜好きで図鑑を買っている。
きっと沢山の人の家に恐竜図鑑はあると思う。
いまから歌詞や恐竜の解説に入っていく。内容は横道にそれ続けるが、ご容赦いただきたい。
この記事は歌へのリスペクトと賞賛の気持ちで書いている。
「ドンじゅらりん」の歌詞の解説
冒頭の歌詞でスイちゃんはこのように語っている。
あれは プテラ プテラノドン
これは イグア イグアノドン
この歌詞からわかるのはプテラノドンやイグアノドンが存在する世界にいるということだ。
プテラノドンやイグアノドンが存在するのは、地球の長い歴史の中でも中生代の白亜紀という時代だ。
※ プテラノドンは白亜紀後期、イグアノドンは白亜紀前期に生息していたと考えられている。なので正確には生息期間がバッティングしていない可能性が高い。
※ イグアノドンは世界で2番目に名前がつけられた恐竜として有名。(1番目はメガロサウルス)
日本の歴史に「江戸時代」や、「平安時代」という名前がついているように、地球の歴史も名前がつけられている。
地球は誕生してから46億年経過している。その46億年は「先カンブリア時代」と「顕生代」に分かれる。
私達人類が誕生して生活しているのも、恐竜が繁栄していたのも「顕生代」だ。
顕生代は生物が硬い殻や骨格を持つようになり、化石が見つかりやすくなった時代だ。
更に3つの時代に分けることができる。「古生代」「中生代」「新生代」だ。
ちなみに今は「新生代」で、恐竜の時代は「中生代」だ。
「古生代」「中生代」「新生代」はさらに「〇〇紀」という名前で分けることができ、中生代は「三畳紀」「ジュラ紀」「白亜紀」に分かれる。
ここで曲にも登場する「ジュラ紀」「白亜紀」という言葉が出てくる。
ちなみに歌詞は続いて
ドンドンドドドン ドドンドーン
じゅらじゅら きょうりゅう ドドンドーン
となっている。
ドンドンが良いリズムを作って、とても楽しい曲調になっている。
恐竜の名前には「〇〇ドン」とつけられているものが多いが、この「ドン」には「歯」という意味がある。
※ 「イグアノドン」は「イグアナの歯」という意味だ。
※ 「〇〇サウルス」というものも多いが、「サウルス」は「トカゲ」という意味だ。
じゅらじゅらと語っているはジュラ紀のことだと思っていたが、どちらもジュラ紀の恐竜ではない。
※ ちなみにプテラノドンは翼竜の一種で正確には恐竜でもない。
プテラノドンは翼竜であり、空を飛んで暮らしていた。
この時代の空の覇者は翼竜であり、世界中の空に存在していたと考えられている。
翼竜はよく恐竜と一緒にされるが、恐竜とは違うグループに存在する。
※ ざっくりといえば、翼竜は空飛ぶ爬虫類。
※ 翼竜が進化して鳥類になったのではない。鳥類は恐竜から進化した。
プテラノドンは白亜紀後期に繁栄した。
翼竜の中で一番多くの化石が見つかっていて、恐竜のいた時代の空の生物といえば、プテラノドンをあげる人が多い。
頭のとさかの形でオスかメスかを見分けることができる。
とさかがとがって長ければオスで、丸くて小さければメスである。
※ ドンじゅらりんに登場するプテラノドンのとさかは全て長くとがっていたので、全部オスだと考えられる。
翼開張は6mにもなり、かなり大きい。
※ 翼開帳とは、翼を広げたときの端から端までの長さを指す言葉。
イグアノドンは1825年に医師のギデオン・マンテルによって発表される。
※ これが世界で2番目につけられた恐竜の名前になる。1番目はメガロサウルスだ。
白亜紀前期にヨーロッパで繁栄していた。
植物を食べていて、群れで生息していた。
子どもと大人で歩き方が違い、子どもは2足歩行、大人は4足歩行であった。
※ ドンじゅらりんに登場するイグアノドンは2足歩行しているので、全部子どもだと考えられる。
ジュラシックパークのジュラシックはジュラ紀のことを表しているが、ジュラシックパークには、白亜紀の恐竜ばかり登場している。ヴェロキラプトルやティラノサウルスやトリケラトプスは全部白亜紀である。ジュラシックパークなのに白亜紀の恐竜ばかり見かけるのは気になるが、映画はめちゃくちゃ面白い。万が一、まだ見ていないならジュラシックワールドまで一気に見た方が絶対良い。
その後、スイちゃんは
車はブンブン、自転車はリンリンであることに言及している。
両者ともに韻を踏んている言葉になっていて、スイちゃんの楽しい気持ちが伝わってくる。
次にパパとママが昔、恐竜であったことを言及する。
むかし パパは ディモルフォドン
むかし ママは ヴルカノドン
パパとママはむかし恐竜だったかも、とワクワクする歌詞だ。
ではここで登場する恐竜について説明しよう。
ディモルフォドンは白亜紀前期に繁栄した翼竜の仲間だ。翼竜の中でも最初の方に登場したので、同じ翼竜でも最後の方に登場したプテラノドンは後輩になる。
※ ディモルフォドン先輩と呼ぼう。
プテラノドンに比べると頭が大きく、翼が小さいことが特長。
翼開帳は1.5mで、プテラノドンの6mに比べると、4分の1ほど小さい。後輩の方がかなり大きい。
※ 最初の化石は1828年に超有名人のメアリー・アニングによって発掘される。
化石ハンターでメアリー・アニングを知らない人はいないであろう。それほどこの業界では有名な人だ。
1799年にイギリスのライム・リージスでうまれ。父親に化石発掘のノウハウを教わったメアリー・アニングは、生活のために若いうちから化石販売を行うようになる。身分も高くなく、その当時の科学は男性が主体の世界だったので、数々の困難に見舞われてしまう。だが、周囲の人々に支えられ、困難に打ち勝っていった結果、古生物学の発展に貢献する世紀の大発見を次々にすることになる。そうして現在では主にヨーロッパやアメリカを中心に「科学の世界で活躍した女の子」の代表的な存在になっている。すごい。
メアリー・アニングが発見した化石は多いが、有名なものが「イクチオサウルス」「プレシオサウルス」「スクアロラヤ」、そして「ディモルフォドン」である。
メアリー・アニングが発見した化石の多くが、現在もイギリスの博物館に展示されている。
メアリー・アニングについてもっと知りたいと思った方は次の本を読んでみて欲しい。子ども向けだが、大人も全然楽しめる内容になっている。
参考:ポプラ社「コミック版世界の伝記41 メアリー・アニング」漫画:北上諒 監修:矢島道子
ヴルカノドンはジュラ紀の前期に繁栄した竜脚類。
竜脚類はとにかく大きく、恐竜の中でも、最も大型化したグループだ。
※ 竜脚類で大きなものは全長30mを越えていたと考えられている。
※ スーパーサウルスやブラキオサウルスも竜脚類の仲間。
ヴルカノドンは、竜脚類の中でも最初の方に登場した恐竜で、体長は6.5m程と竜脚類の中では小さめになる。
「ドンじゅらりん」の歌詞の解説2
スイちゃんはエリマキトカゲの話をした後、トリケラトプスの話をする。
トリケラトプスは はくあきうまれ
みらいのトンネル くぐったオバケ-
ここで言及されている「未来のトンネルくぐったオバケ」というのは、まずトリケラトプスとエリマキトカゲが似ているので、トリケラトプスが白亜紀から現在にタイムスリップしてきてエリマキトカゲになったのではないかという考えから生まれたものではないかと考えられる。「過去の生物が今もいる=オバケ」という、スイちゃんなりの深い考察があっての描写であると感じ取れた。
トリケラトプスも紹介しておく。
曲の中でも述べられている通り、白亜紀に繁栄した。
※ 正確には白亜紀の後期。
トリケラトプスは角竜類という恐竜のグループに所属する。
※ 角竜は恐竜の中で一番最後に登場したグループ。
角竜類の中で一番有名であり、人気も高い。
子どもたちに好きな恐竜アンケートをとったら確実にベスト3には入るであろう知名度を誇る。
角竜類にはトリケラトプスのように「ケラトプス」という言葉が使われている恐竜が沢山いる。
※ 「ケラトプス」は「角のある顔」という意味である。
体長は9mほどでよく比較される、牛やカバより断然大きい。むしろゾウより少し大きい。
※ そしてゾウより確実に強い。トリケラトプスが戦ってきたのが、ライオンやトラではなくティラノサウルスなどの恐竜たちだからだ。
ドンじゅらりんの意味
ドンじゅらりんという言葉はものすごく素晴らしい。
おそらくこういう意味だと思う。
ドン・・恐竜
じゅら・・ジュラ紀(恐竜がいた時代)
りん・・自転車に乗ってサイクリングをしている
ドンじゅらりんという言葉だけで、恐竜たちが歩いている古代のジャングルを恐竜たちに並んでスイちゃんが楽しくサイクリングしている。という描写が浮かぶようになっている。短い言葉にこれだけの情報を込めることができるのは、もはや俳句の域と考えてもよさそうだ。さすが「くるり」の岸田さん。
小学館「小学館の図鑑NEO 恐竜[新版]」
技術評論社「リアルサイズ古生物図鑑 中生代編」著:土屋健
すごく細かく調べられてますね。
この曲好きでここにたどり着きました
すいちゃん可愛いですよね
うちの子も恐竜好きなのでこの歌好きです。
さいとうさん
コメントありがとうございます。
すいちゃんの声や動きと歌詞がマッチしているところが良いですよね。
お子さんが将来読んでくれるような恐竜記事もいつか書いてみたいと思っています。
私も恐竜大好きです。今日はなぜか起きた時から、ドンジュラりんがリフレインしていました。
このように、好きな事をとことん探究しているような大人でありたいです。気になったのでほかの記事も見てみます!
ままひろありんさん
コメントありがとうございます。
この曲は、時々私も頭の中で再生されます。
ありがたいお言葉ありがとうございます。今後も更新頑張ります。
うちの息子5歳が、「プテラノドンもイグアノドンも白亜紀なのに」と言ったことから、調べてみると本当に白亜紀で。。なぜこのような歌詞なのか。モヤモヤします。
恐竜好きのママさん
コメントありがとうございます。
謎ですよね。ちなみにジュラシックパークもほぼ白亜紀の恐竜が登場します。