感想
災害が発生したとき、避難所へ避難することをまず考えてしまいます。しかし、その選択ではなくて「在宅避難」の方がメリットが大きい人も実際は多くいます。2020年の新型コロナウイルスの流行もあり避難所のあり方も大きく変わろうとしています。そんな現代の世の中で、災害が発生したときにどのような行動をとればいいのかを教えてくれる1冊です。
この本ではマンションに住んでいる人にフォーカスを当てて、「在宅避難」の方法を著者の経験を踏まえながらわかりやすく解説してくれています。正直、マンションに住んでいる人はみんな一読の価値がある本だと思います。
本の要約
この本で著者が言っていることのポイントをまとめると次の点が挙げられます。
- 災害=避難所に避難という考えを一度冷静に見直し、在宅避難という方法も選択肢に入れよう。
- マンション防災の基本は自助。一人一人が防災意識を高く持つことが大切。
- 実際にどのように行動すればいいのか。
災害=避難所に避難という考えを一度冷静に見直し、在宅避難という方法も選択肢に入れよう。
災害が発生したときに避難所に行く。ハザードマップにも避難所は記載されていますし、その選択肢は間違いないと思われがちです。もちろん避難所に避難した方がいい人もいますが、「在宅避難」を行ったほうがいい人もたくさんいます。この本ではそんな新しい視点に気づかせてくれます。
特にマンションは耐震対策などをきっちり行なっていることも多く、災害に強い面もあります。
マンションは戸建ての住宅に比べて災害に強いといわれています。建物に耐震性があれば大地震でも簡単に倒壊・全壊はしません。暴風雨にも耐えられます。津波や水害の場合でも、上層階に逃げれば命を落とすことはありません。(P18より)
しかし、マンションは停電が発生するとエレベーターが使えなくなるので頻繁に移動をするのがとても難しくなります。部屋の中で家具が倒壊して怪我をしても建物が無事であれば救助が来ない可能性もあります。
そこで著者は停電したときにも自宅で避難生活ができるように準備しておくことと、家具が転倒したり食器棚のガラスが割れたりしないようにあらかじめ備えておくことの大切さと具体的な方法を説明してくれます。
つまり電気が止まったりしても生活ができるように準備ができていれば、避難所に行かなくても自宅で避難生活を送れる場合がある。そして自宅で避難生活を送れるということは多くの人にとって大きなメリットになるんだよ。ということを教えてくれます。
マンション防災の基本は自助。一人一人が防災意識を高く持つことが大切。
避難訓練などは災害が起きてからの行動を練習します。もちろん避難訓練も大切なことなのですが、災害に対しては起きた後のことよりも、起きる前にどれだけの力をかけられるかが被害の大小を左右することが多いです。つまり日頃から準備をしておくことが大切ということです。例えば食料を備蓄しておく。カセットコンロを用意する。家具が転倒しないようにしておく。ガラスが飛散しないようにフィルムを貼る。などです。
準備や備えに関しては、自助がとても大切になり、一人一人が当事者意識を持って防災意識を高く持つことが大切です。具体的にどういった準備をしておくといいのかをシートなのでわかりやすくまとめて、みんなが見れる掲示板などに掲示しておくと良いみたいです。
マンションで防災委員会のような組織があればその組織が行う大切なことは、自助を推進すること。自助を行いやすくするためのサポートを行うことだと著者は言っています。
実際にどのように行動すればいいのか。
実際にどのような準備をしておけば在宅避難という選択肢が取れるのかについて、この本では事例をもとにわかりやすく説明してくれています。例えばご飯や水の備蓄方法について、カセットコンロがあると電気やガスが止まっても料理ができることについて、家具の転倒防止方法について、水が使えなくなったときのトイレについて。などなどです。
そのどれもが災害が発生してからの準備では間に合いません。正しい知識を知り、マンションでその知識を共有して災害に備えられるような準備や備えをできるかどうかが、いざ災害が起きたときの結果に大きく結びつくと痛感しました。
本の情報
タイトル:マンション防災の新常識:逃げずに留まる「在宅避難」完全ガイド
著者:釜石徹
出版社:合同フォレスト
発行年:2020年11月