先カンブリア時代
地球の歴史は大きく「先カンブリア時代」と「顕生代」に分かれて、先カンブリア時代の方が古い時代です。
先カンブリア時代は次のように細かく区分されます。
冥王代(46億年前〜40億年前)
冥王代はざっくり言えば、最初の岩石ができるまでの時代です。
地球の誕生から大気の形成
地球は微惑星が衝突・合体を繰り返して誕生したと考えられています。
微惑星には水や二酸化炭素が含まれていたので、その成分が地球の大気を作ります。
そのため、原始大気の主成分は水蒸気と二酸化炭素です。
超高温時代(マグマオーシャン)
隕石や微惑星の衝突によるエネルギーや、原始大気の水蒸気と二酸化炭素による温室効果によって地球の温度はとてつもなく上昇しました。
こうして地球表面の温度は1500℃になり、地球表面の岩石が溶けてマグマになりました。
この時、地球表面はマグマに覆われたのでマグマオーシャンと言います。
マグマオーシャンが形成されたことにより、地球の成分は重たいものは中心へ、軽いものは外側へと別れました。
こうして中心に重たい金属で形成された核が、その外側には岩石で形成されてマントルが形成されます。
海洋の形成
とてつもなく熱かった地球ですが、微惑星や隕石の衝突頻度が下がることで、次第に温度が下がってきます。
温度が下がる事で、空気中の水蒸気が凝結して大量の雨が降ります。
マグマオーシャンは冷えて、原始地殻もこの時期に形成されたと考えられています。
こうして地球の温度は当時、100℃から200℃くらいまで下がったと考えられているよ。
太古代(40億年前〜25億年前)
最古の岩石
太古代の始まり、最古の岩石ができました。
カナダ北部に露出している40億年前の変成岩(片麻岩)です。
あと有名なのが、グリーンランド南部にある、38億年前にできた枕状溶岩です。
枕状溶岩は地表から噴き出した溶岩が急激に冷やされてできる岩石です。溶岩が急激に冷やされるのは水の中なので、枕状溶岩があるということはその当時、海洋が形成されていた証拠とも言えるから有名なのです。
生命の誕生
最古の生物の化石は35億年前のオーストラリアの地層から見つかっています。
生命の誕生について「どこで誕生したのか?」と「どうやって誕生したのか?」という2つの疑問が生まれます。
生命はどこで誕生したのか
結論から言うと、生命が誕生した場所は海の中で間違い無いだろうと考えられています。
地球が誕生してからほとんどの期間、地表には生命にとって有害な紫外線が降り注いでいました。そのため、最初の生命は紫外線の影響が少ない、海の中だと考えられています。
生命はどうやって誕生したのか
結論から言うと、正直よくわかっていません。
よくわかっていない中で、現在考えられていることを説明します。
生命とは何か?という問いを考えてしまうと、とても複雑になってしまうので、単純に考えます。私たち生物の体はタンパク質でできています。そしてタンパク質はアミノ酸でできています。
アミノ酸の起源には2つの候補があります。
ひとつが地球に衝突した隕石がアミノ酸の起源と考える隕石説
もうひとつが海底に存在する熱水噴出孔でアミノ酸が生成されると考える熱水噴出孔説
この2つです。
この2つの説は今なお新しい発見が続々とされているとてもホットな分野です。
原生代(25億年前〜5億4100万年前)
光合成スタート
地球にある生物が誕生します。その生物の名前はシアノバクテリアというのですが、この生物の誕生が地球の運命を大きく変えていきます。
シアノバクテリアは酸素発生型の光合成ができる生物です。ちなみに原核生物です。
※ 光合成生物とは光エネルギーを用いて生存に必要な有機物を作り出せる生物
シアノバクテリア自身は化石に残りにくけど、痕跡としてストロマトライトという構造物を残すよ。
全球凍結
環境の面でも大きな変化がありました。全球凍結です。
全球凍結とは、地球の表面が全て氷河で覆われる現象です。
その当時の赤道でも氷河の証拠が見つかったことからわかりました。
全球凍結は原生代初期と、原生代後期に2回発生したと考えられています。
生物にとって非常に過酷な出来事だったと考えられますが、解消された後は生物の進化や繁栄につながりました。
酸素の増加
全球凍結による過酷な環境を乗り越えた光合成生物は、大量の酸素を地球に供給することになります。
酸素が供給された証拠として縞状鉄鉱層があります。縞状鉄鉱層は海の中に含まれていた鉄(鉄イオン)と酸素が結合することで、形成されます。
※ 縞状鉄鉱層は24.5億〜20億年前頃に形成されました。
真核生物と大型無脊椎生物の誕生
酸素の出現は複雑で新しい生物の誕生に繋がったと考えられています。
まず登場したのが真核生物です。21億年前の地層から真核生物の化石が発見されています。
真核生物は細胞の中に核を持つ生物です。従来の生物である原核生物に比べて、細胞は複雑な構造をしています。
酸素排出型の光合成をおこなう生物が誕生したのがこの時代です。いまでこそ酸素が空気中に含まれていて当たり前ですが、この時代まで地球上に酸素はありませんでした。酸素はとても反応性の高い物質なので、その当時の生物にとって猛毒だったと考えられます。実際に酸素の原因で多くの生物が絶滅したと考えられています。生物はしだいに酸素を有効に活用できるように変化して現在のようになくてはならない存在となっています。
7.5〜6億年前ごろに起きた2回目の全球凍結が終わったあと、ついに地球に大型生物が出現します。
この時期(先カンブリア時代終盤)に誕生した大型生物群をエディアカラ生物群と言います。
エディアカラ生物群には体長1mを超えるものも存在していました。
エディアカラ生物群から肉眼でも確認できるような生物が誕生したと考えらえられています。上の図の葉っぱが地面に突き刺さっているような生物はカルニオディスクスといい、全長数十㎝ありました。植物に見えますが、動物だったと考えられています。図の右下の生物はディッキンソニアという名前です。ディッキンソニアは左右対称ではなく、少し左右非対称ではないかと考えられていて、これは今の生物に当てはめるとものすごく珍しいことです。
このように今の生物とはちがうユニークな形や構造をしていたと考えられるのがエディアカラ生物群です。
先カンブリア時代まとめ
- 微惑星の衝突・合体により原始地球の誕生
- 隕石の成分から原始大気が形成
- 温室効果や隕石衝突エネルギーにより地球が高温になりマグマオーシャンが形成
- 隕石の衝突頻度低下に伴い地球の気温が少しずつ低下
- 大気の水蒸気が雨となり原始海洋が形成
- 最古の岩石が形成
- 最古の生物が誕生
- 光合成生物が誕生
- 全球凍結
- 光合成による酸素で縞状鉄鉱層が形成
- 真核生物の誕生
- 多細胞生物の誕生
- エディアカラ生物群の誕生(生物の大型化)