学べる地学

地学基礎教室「地球の大きさ」

地球は大きい

地球は大きいですよね。
どれくらい大きいか知っていますか?

1周約40000㎞です。

※人類が地球を初めて一周したのは約500年前といわれています。マゼランという人物が有名です。

地球の大きさを科学的に初めて計測したのは紀元前230年頃です。計測したのはギリシャのエラトステネスという人物です。地球が球形であることを科学的に説明したアリストテレスより少し後の人物です。

※エラトステネスはアレクサンドリアの図書館長を務めていました。2以上の整数の倍数を順に消していき、素数を見つける「エラトステネスの篩」という方法も考案しました。

エラトステネスはどのように地球の大きさを計測したのかを説明します。
南北に位置するアレクサンドリアのほぼ真南にあるシエネという都市では、夏至のときの正午に井戸の底に太陽が映ります。深い井戸の底に太陽が移るためには太陽高度が90度でなくてはいけません。そのことに気がついたエラトステネスは、同じく夏至の日の正午のアレクサンドリアでの太陽高度も計測します。これがだいたい82.8度でした。つまりアレクサンドリアとシエネでは太陽高度の差が(90-82.8)で、7.2度あります。2つの都市は南北に位置するので太陽高度の差はそのまま、緯度の差になります。

※緯度は赤道が0度、極を90度で表します。赤道から南北にどれだけ離れているかの座標を示します。赤道付近は低緯度、極付近は高緯度とも言います。

2地点の緯度の差が7.2度で、地球一周の角度は360度です。
7.2度が50セットあると7.2度×50=360度になります。
つまり2地点の距離×50=地球一周の距離になります。
エラトステネスは数学の知識を使って、地球一周の大きさを計測したのです。

エラトステネス式地球全周測定法

$$地球の全周=\frac{360}{2地点の緯度の差}\times2地点の距離$$

※地球一周の大きさは自宅でも地図と電卓とものさしがあれば計測できます。地図は緯度が記載されている国土地理院が発行しているものがおすすめです。是非やってみてください。

※エラトステネスは2地点の距離を歩いて計測したのと、完全には2地点が南北に位置していなかったので、地球の大きさの計測結果には約13%ぐらいの誤差があったといわれています。科学的に計測できる方法を考案した点に偉大さがあります。

※アレクサンドリアと、シエネは800kmぐらい離れています。2000年以上前によく歩いて計測しましたね。

コラム「地球の大きさ測定がもたらしたもの」

地球の大きさを計測することは当時の科学者たちの悲願でした。
月食のときに月に映る地球の影と月の大きさのバランスから月が地球より大体どれくらい小さいかはわかっていました。地球の大きさがわかったことで、月の大きさがわかりました。月の大きさがわかると月までの距離を計算することができます。腕を伸ばして親指を立てて片目を閉じて月を見ると、指の爪と月の大きさが大体同じになります。つまり腕の長さと爪の大きさの比が、月までの距離と月の大きさの比と一緒ということです。月の大きさは計算できているので、月までの距離がわかります。
さらに言うと、月までの距離がわかると太陽までの距離もわかります。半月のとき月には、太陽の光が真横から当たっているはずです。その時の地球から見える太陽の位置の角度を測ると、太陽・月・地球の位置が直角三角形になります。そこから三角法を使ってやることで、太陽までの距離がわかります。
参考「宇宙創成」著:サイモン・シン 新潮社

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